イサム・ノグチが残した 【光の彫刻(照明)AKARI】
更新日:2024/08/28
イサム・ノグチ(1904-1988)は日本人の父親とアメリカ人の母の間に生まれた日系アメリカ人。幼少期は日本で過ごし14歳で単身渡米、芸術家としての才能が磨かれていきました。イサム・ノグチは彫刻家にとどまらず。空間デザイン、家具、照明、舞台装置、書、遊具などさまざまなものを生み出し、イームズやジョージネルソンと同じミッドセンチュリー時代を生きたデザイナーです。
映画*や舞台*にもなりイサム・ノグチという魅力的な人物像がわかります
*自伝的ドキュメンタリー等もあります。他にも「レオニー」(映画)はイサム・ノグチの母親であるレオニーギルモアの波乱に満ちた生涯を描く映画も公開されていました。
*「iSAMU20世紀を生きた芸術家イサム・ノグチをめぐる3つの物語」(舞台)は宮本亜門さんが出かけた舞台でした。照明の通販サイトの方でも宣伝した記憶が残ります。
岐阜提灯との出会いでAKARIが生まれる
石の彫刻とは違い軽やかな光の彫刻AKARI(アカリ)は住空間の中に手軽に持ち込むことができる彫刻と考えていたそうです。彫刻をするように発泡スチロールで形を削り出し様々なプロポーションの作りづづけました
そこから、巻き上げられる竹ひごの位置まで絶妙に計算されています。現代においてもイサム・ノグチが遺した木型が使われ当時と変わらない製法で岐阜提灯の職人により作られています
イサム・ノグチは35年をかけて、200種類以上ものさまざまな形や大きさのAKARIを生み出しました。1950年代の初めの頃は提灯の上下に口輪のついたものだったり、竹ヒゴの感覚が均一で目が細かい物でしたが、1963年には竹ヒゴが不規則に巻かれたDシリーズ(Dはでたらめの意味だそうです?)が作り出されました。
鏡餅や茄子など多種多様な形をしたNシリーズ(ニューあかり)ペンダントライト、スタンドライトが作られた頃から、バリエーション豊かな展開を示すようになったそうです。
さらに、Pシリーズ(Pはプレーンの意味)ペンダントライト、スタンドライトのように形はシンプルで、竹ひごを使わず和紙を折りたたんだ際に生じるシワの陰影を魅せようとするAKARIが加わって行きました。このように、伝統的な提灯製造の技術にのっとりさまざまな形のAKARIを生み出す一方で、竹ヒゴが生み出すセンや和紙が生み出す陰影を効果的に見せようとするAKARIを作り出していきました。
長い年月のなかで200種類以上のAKARIがデザインされましたが、現在購入できるものはその一部です
AKARIの全てのシェードにはイサム・ノグチのサインが印字されています。本物の証です。
今、手にすることができるイサム・ノグチのAKARIはこちら販売しています
天井から吊り下げるペンダントタイプのAKARI
小さいものは直径30cmのものから大きいものは100cmほどまでの丸い形、四角いデザイン、吹き抜けなどによく使用される縦に長いAKARIなどが販売されています
畳まれた和紙を広げて真張りを入れ、電球をつけたコードソケットを取り付けるだけで組み立てできます。
イサムノグチのAKARI ペンダントライトを見る(2022年12月現在:30商品あります)※一部のAKARIは販売終了しているものもございます
床において使うスタンドタイプのAKARI
スタンドタイプは3本〜4本の細い脚からなる小型タイプがポピュラーで、ペンダントライト以上にデザインが豊富に揃っています。テーブルライトや床置きの照明、高さ190cmにものぼる大型のスタンド、盆提灯のような3本脚タイプなどがあります
棒の脚と電球をつけるソケット、そして和紙のパーツから組み立てるスタンドタイプは少し組み立てるのが難しいので必ず説明書を見ながら行った方が良いと思います
イサムノグチのAKARI スタンドライト一覧(2022年12月現在:24商品あります)※一部のAKARIは販売終了しているものもございます
AKARI専用の交換用和紙シェード
AKARIの素材は和紙なので電球からの発熱や経年変化による劣化が避けられない照明シェードです。LEDが普及した現在では発熱も少なくなり、以前に比べれば和紙も長持ちするようになりましたが、和紙なのでどうしても劣化してしまいます。破れてしまった和紙は修理する事ができませんので交換用AKARI和紙が用意されています。 ロングタイプの和紙シェードはスタンド、ペンダント共通です
AKARI 交換用和紙一覧(2022年12月現在:22商品あります)
※限定のAKARIは販売終了しているものもございます世界に広がるAKARI
AKARIはイサム・ノグチの彫刻作品として、世に類を見ない照明器具として、世界中に広がっていきました。アメリカニューヨークをはじめとして世界各国で展覧会が開催され、国内でもさまざまな芸術家、デザイナーがAKARIと関わり、また、多くの賞賛を得る事になったそうです。イサムノグチ自身もAKARIを積極的に出品をし、実際「あかりは僕が自身を持って誇れる仕事の一つです」とよく話していたそうです。
次の言葉からはAKARIに対する自負心がよく伝わってきます。
「アカリはどんな環境にも合う照明器具として、又、美術品として世界中で需要を伸ばしてきました。このように親しまれているAKARIは人々の生活様式にも影響を及ぼしているといっても過言ではないでしょう。あかりはその人の権威(ステータス)の象徴ではなく、貧富にもかかわらず完成の証であり、暮らしに質(クオリティ)を与え、いかなる世界も光で満たすのです。」
アメリカと日本との間で、しばしばその帰属を問われるような出来事に遭遇しながらも、故郷を超えて制作活動を展開させていった彫刻家、イサムノグチ。彼は従来の彫刻という枠組みにとらわれることなく、彫刻という概念そのものを拡張させていき、モニュメント、庭、公園、家具、そしてAKARIなど、環境に関連した仕事を展示する事で、彫刻とは何かを世に問いかけ続けたのである
イサム・ノグチの彫刻作品が見れる場所
※限定のAKARIは販売終了しているものもございます
イサム・ノグチが遺した作品を多数展示している美術館と博物館では、ここでしか手に入らない商品の販売もおこなっています。AKARIは庭園美術館のオリジナルパッケージ仕様が入手できます
イサム・ノグチ庭園美術館
彫刻家イサム・ノグチが遺した作品を多数展示している日本で唯一の場所
イサム・ノグチ庭園美術館は香川県の牟礼という町にあります
1950年代に庵治石の産地である、この地を訪ね、彫刻家としてのアトリエをこの地に持ちました
アトリエの向かいにはイサム・ノグチが生活をしていたイサム家と彫刻庭園を見ることもでき、イサム・ノグチが生活していた一部を垣間見ることができます。彫刻という枠を超えて自然な景観までもデザインしてしまうイサム・ノグチのランドスケープ設計は、のちにモエレ沼公園へ繋がっていきます
代表作の「エナジー・ヴォイド」は1970年代に製作された高さ4m弱の作品で、石でできている事を忘れてしまう柔らかい雰囲気と、とてもパワーを感じる大好きな作品です
イサム・ノグチ庭園美術館は香川県牟礼にあります。
〒761-0121 香川県高松市牟礼町牟礼3519
Tel. 087-870-1500
ニューヨークにあるイサム・ノグチ美術館
1985年にオープンした、The Noguchi Museumです。ニューヨークへ行った際は是非!
ノグチ・ランドを見に札幌に行こう!
イサムノグチの世界観がそこにあります
総面積189ヘクタールの敷地をキャンパスに見立てて、高さ50mの山までも計画した巨大な「アース彫刻」が札幌にあるモエレ沼公園です。
数あるランドスケープ作品の中でも最大級の広さ。遊具、彫刻、建築に至るまでイサム・ノグチの世界観がそこにあります
ガラスのピラミッド内にはレストランやイサム・ノグチギャラリーなど札幌まで行った際にはぜひ立ち寄って欲しい場所です!
さまざまな巨大モニュメントがあります
広大な敷地内にはサクラの森、モエレビーチ、プレイマウンテン、テトラマウンド.......たくさんの場所があります。
サクラの森にはイサムノグチらしいデザインの遊具などがそろう楽しい場所です
完成を見ることができなかったモエレ沼公園
大地を彫刻するというイサム・ノグチの壮大なプロジェクトがモエレ沼公園でした。公園全体が彫刻作品という考えで1988年に設計された公園でしたが、その完成を見ることなく同年にこの世を去ってしまいました。
イサムノグチが残したマスタープランを元に造成工事は始まり2005年に全ての施設が完成しています。自然とアートが融合したこの公園は春には桜、夏には水遊び、秋には紅葉、冬には雪遊びが楽しめる公園です
モエレ沼公園
007-0011 北海道札幌市東区モエレ沼公園1-1
Tel: 011-790-1231
お家の近くにあるかも!? イサム・ノグチがデザインした遊具
イサム・ノグチは自然の中で子供達が遊べる遊具彫刻を数多くデザインしています。
有名なところでは
横浜市のこどもの国にある「プレイグラウンド」には「丸山」「オクテトラ」、北海道札幌にある大通り公園の滑り台「ブラック・スライド・マントラ」や彫刻の森美術館、入ってすぐ左の建物内にはオクテトラがあります
遊具彫刻にこんな言葉を遺されています
「これは、あの子どもたちの世界。私が創造したものを子どもたちに発見してもらいたいのです。そして、ちょうど原始、人がしたように、子どもたちにも直接、大地と向き合ってもらいたいのです。」
isamu noguchi
こどもの国
神奈川県横浜市青葉区奈良町700
045-961-2111
彫刻の森美術館
神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
0460-82-1161
他にもたくさんあります。イサム・ノグチの作品が見れる場所
展示されていない場所があるかもしれませんので事前に確認をお願いします
・大通公園 北海道札幌市中央区大通り西8
・土門拳記念館の庭園 山形県酒田市飯森山2-13
・セゾン現代美術館 長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140
・越前園芸公園 福井県丹生群宮崎村小曽原120
・大川美術館 群馬県桐生市小曾根町3-69
・草月会館 東京都港区赤坂7-2-21
・東京国立近代美術館 東京都千代田区北の丸公園3−1
・こどもの国 神奈川県横浜市青葉区奈良町700
・横浜美術館 横浜市西区みなとみらい3-4−1
・神奈川県立近代美術館 鎌倉 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
・静岡県立美術館 静岡県静岡市谷田53-2
・滋賀県立近代美術館 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
・和歌山県立近代美術館 和歌山県和歌山市吹上1-4-14
・名古屋市美術館 愛知県名古屋市中区栄2-17-25
・一宮市博物館 愛知県一宮市大和町妙興寺2390
・国立国際美術館 大阪府吹田市千里万博公園10-4
・大原美術館 岡山県倉敷市中央1-1-15
・呉市美術館 広島県呉市入船山公園内
・広島市現代美術館 広島県広島市比治山公園1-1
・香川県文化会館 香川県高松市番町1-10-39
・タイムアンドスペース | 高松空港 香川県香川郡香南町大字岡1312-7
・徳島県近代美術館 徳島県徳島市八万町向寺山 文化の森公園内
・阿波中央橋 徳島県麻植群鴨島町
最後に
イサム・ノグチさんという人物像は本やドキュメンタリー映像などで見ることができます
作品は日本のみならず世界中に残され、手に入れることができる家具や照明はお部屋に置いて楽しむ事ができる唯一の作品となります。和紙でありながら海外での人気の高さから洋室でも十分に馴染むデザイン性は光の彫刻と呼ばれるAKARIの魅力かと思います
イサム・ノグチの作品に出会えるイベント情報
・東京オペラシティ アートギャラリーにてイサム・ノグチ -彫刻から身体・庭へ- が開催されます。生涯を通じて生まれた様々な彫刻作品が展示されます
2018年7月14日から9月24日まで
・川崎市岡本太郎美術館にて「イサム・ノグチと岡本太郎―越境者たちの日本―」が開催されます。本展は、イサム・ノグチと岡本太郎という個性の異なる二人の越境者の作品を通して、「日本」あるいは「日本美」とは何かについて再確認するための機会として開催されます。
2018年10月6日から1月14日まで
・横浜美術館にて「イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるも」が開催されます。絵画、彫刻、版画、写真、墨画など、約120点におよぶ作品を通して、ノグチと長谷川、ふたりの交友と創作の軌跡を辿ります。
2019年1月12日から3月24日まで
・株式会社オゼキにて「Discovery AKARI展」が開催されます。
光の彫刻AKARIはどうやって生まれたのか。残された記録をもとにその軌跡を探る特別展です
世界的彫刻家イサム・ノグチがデザインした照明器具A K A R I 。氏の代表作の一つとして数えられるAKARIは、岐阜の伝統工芸産業である提灯との出会いにより誕生しました。以来イサム・ノグチは亡くなるまで40年に渡り約200種類ものAKARIを生み出しました。美意識に貫かれた圧倒的な造形力と、和紙を通したやわらかな光が生み出す美しさは、今も変わることなく世界中の人々を魅了し続けています。
ディスカバリーアカリ展と題した本展では、様々な角度からAKARIを探ってまいります。アメリカを活動拠点としていたイサム・ノグチと岐阜提灯、この二つが出会うにはどんなドラマがあったのでしょうか。出会いからおよそ七十年を経た今、残された記録などをもとにあらためてAKARIの軌跡を探り、その歴史に迫ります
2019年10月9日から10月11(10時から16時)まで入場は無料です
会場はオゼキ東京営業所 東京都中央区日本橋人形町1-2-6
・東京都美術館にて「イサム・ノグチ 発見の道 」が開催されます
1. 彫刻家ノグチの精髄に迫る 国内外の多数の大型彫刻をはじめ、およそ90件の作品が集結。さまざまな発見の道を歩みながら、「彫刻とは何か」を追求したノグチ芸術の精髄に迫ります。
2. かつてない“ノグチ空間”の体感型展示 光の彫刻「あかり」150灯のインスタレーションなど、3つの特色ある展示構成を試みます。「第1章 彫刻の宇宙」、「第2章 かろみの世界」、「第3章 石の庭」とまったく異なる空間の醍醐味をご堪能ください。
3. ノグチ芸術の到達点・牟礼の石彫群が初めて東京へ 香川県高松市牟礼町で制作された晩年の石彫群はノグチ芸術の到達点です。それらが牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館の開館以降、同所以外でまとめて展示されるのは今回が初となります。
2021年4月24日(土)〜8月29日(日)
東京都美術館 企画展示室
・イサム・ノグチ TOOLSが開催されます
20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ(1904-1988)。彼は、木や石はもちろん、金属や粘土、時には紙など、さまざまな素材を用いて作品制作に取り組んだことでも知られています。その幅広い創作活動は、少年時に茅ヶ崎の自宅「三角の家」を新築する際に知り合った大工から木工の手ほどきを受け、道具一式を携えて太平洋を渡った時にすでに始まっていたと言えるでしょう。
彼が用いた道具の一部はニューヨークのノグチ・ミュージアムに保存されています。それらは西洋の道具と日本の道具が入り混じったものであり、日本人の父とアメリカ人の母のもとに生まれ、東西ハイブリッドな個性を有したノグチらしい国際的なコレクションになっています。
ノグチは最終的に花崗岩や玄武岩などの硬い石を用いた彫刻にたどり着き、アトリエを香川県の牟礼町に築きます。それは硬い石を加工できる石工の職人技を求めた結果でもありました。本展では、実際にノグチが使用した「道具」を通して、作品の制作過程において「素材」と「技術」がいかに密接に関係していたのかを紐解いていきます。
AKARI制作の原型となる木型なども展示されるそうです
2023年3月4日(土)〜5月7日(日)
竹中大工道具館1Fホール
・新美の巨人たち テレビ東京にて
イサム・ノグチ「AKARI」x 三村里江が放送されます
AKARIの制作風景やショールームなどAKARIに関する様々な情報が放送されます
放送は2023/11/04(土)22:00〜22:30