引掛シーリング ローゼット

引掛けシーリングとは?【電気工事士によるポイント解説】

天井照明を取り付ける際、「引掛けシーリング」という言葉を耳にする方は多いのではないでしょうか。普段はあまり意識しませんが、天井照明を安全に使うためには欠かせない要素の一つです。

本記事では、天井照明の取り付け時に必要な引掛けシーリングとは何か、どのような種類があるのか、そして実際に照明器具を取り付ける際のポイントなどを、電気工事士の視点も交えながら詳しく解説します。

引掛けシーリングとは?

引掛けシーリング

天井照明を取り付ける方式の中でも、日本の住宅でもっとも一般的に普及しているのが「引掛けシーリング」です。天井にあらかじめ設置された引掛けシーリングプラグに照明器具のプラグを差し込むことで取り付けられる仕組みになっています。

この仕組みのおかげで、照明器具を簡単に取り外したり、別の器具と交換したりできます。

家の新築やリフォームの際には、工事の段階でほぼ標準的に設置されることが多く、特別なオプションをつけなくとも一般的なシーリング形状が設置されているケースがほとんどです。

照明器具メーカーも「引掛けシーリング対応」の照明を多数販売しているため、デザインの選択肢が豊富です。

引掛けシーリングの種類について

引掛けシーリングの種類

引掛けシーリングには大きく分けていくつかのタイプが存在します。代表的なものとして、以下の種類を押さえておきましょう。

1.丸型引掛けシーリング
文字どおり、丸い形状をした引掛けシーリング。一般的な形状で、ペンダントライトやシーリングライトなど幅広い照明器具を取り付けることができます。

2.型引掛けシーリング
長方形の形状が特徴の引掛けシーリング。丸型と同様に多くの照明器具に対応しています。

3.埋め込み型引掛けローゼット
丸型に比べて幅が大きく薄いデザインが特徴。マンションやコンクリート造の建物でボックスなどの施工された天井に使われていることが多い配線器具です。

基本的には丸型と角型が最も一般的ですが、設置されているローゼットの形状を確認することで、取り付けられる照明器具の種類がわかります。

丸型や角形シーリングは「引掛けシーリング式」の取付器具に対応し、ローゼットは「引掛けシーリング式」に加えて「簡易取付式」の照明器具も取付ができるようになっています。

引掛けシーリング式のメリット

1.取り付けが簡単な仕組み
「引掛シーリング取付式」の照明器具であれば、シーリングのローゼットにプラグを差し込むだけです。引っかけて回すだけで固定される構造なので、初めての方でも比較的スムーズに設置できます。

2.資格がなくても取付できる
電気配線を直接触ることもないので、取付手順に従えば個人で安全に取り付けができます。器具側のシーリングには、ロックがついている種類もあり、地震でも簡単には外れない仕組みになっています。

3.引越しや掃除が簡単になる
照明器具を取り外して掃除をしたい時や、引越しの際に照明を持ち運ぶ場合など、簡単に着脱できるのは大きなメリットとなります。

天井照明の取付け方法

引掛けシーリングを使って天井照明を取り付ける場合、いくつかのポイントを押さえておくと、より安全かつ確実に作業が行えます。ここでは基本的な流れと注意事項を順を追って解説します。

引掛けシーリングの状態を確認

まず最初に、天井側の引掛けシーリング(ローゼット)が正しく取り付けられているかどうかを確認します。具体的には以下の点に注意しましょう。

・ガタつきや破損がないか
シーリングがグラグラしていないか、ひび割れしていないかどうかをチェックします。ガタつきがある場合はネジの緩みや劣化が疑われます。問題がある場合には下記の章、「引掛けシーリングに異常がある場合」をご覧ください。

・スイッチがオフになっているか
取り付ける際は壁スイッチを必ずオフにして取付をしてください。

照明器具の説明書を確認して取り付ける

照明器具の取付

照明器具には必ず取扱説明書が付属しています。具体的な取り付け手順や注意点が記載されているので、必ず目を通しましょう。説明書の手順に沿って下記のように進めると安心です。

1.照明器具のプラグ部分の形状を確認
どの向きで取り付けるとロックがしっかりかかるか、印刷された矢印や溝を確かめます。

2.シーリング、またはローゼットにプラグを差し込み回す
凹凸に合わせて差し込み、「カチッ」という音や手応えがあるまで回し込みます。途中で無理に回そうとすると破損の恐れがありますので注意してください。

3.固定の確認と高さ調節
ペンダントライトの場合は、固定を確認し必要に応じて高さの調節をします。シーリングライトであれば本体がしっかりと固定されているか確認します。

4.点灯確認
スイッチを入れて点灯するかを確認します。異常なちらつきや異音が無いことを確認して完了です。

引掛けシーリングに異常がある場合

天井側の引掛けシーリングが割れている、欠けている天井から外れてしまっている場合は、無理に取り付けを行わずに専門家(電気工事士)に点検・交換を依頼することをおすすめします。

割れや欠けがあるシーリングに照明をつけた場合、天井から照明が落下することもありますので安全のために早めの対処が肝心です。

取付方法の種類と配線部品の違い

引掛けシーリングを使った取り付け方には、さらに細かく分けると「簡易取付式」と「電気工事式」の2種類があります。ここでは、それぞれどのような特徴と違いがあるのかを解説します。

簡易取付式とは?

簡易取付式

取付方式が「簡易取付式」といわれるタイプの照明器具は、この簡易取付式器具に該当します。角形シーリングに比べて重量のある照明器具が取付できるのが特徴です。

簡易取付式の器具はローゼットが設置されている天井で比較的容易に取付ができるようになっています。

角形シーリングに簡易取付式の照明器具をつける場合には照明器具に付属の金具を天井にネジ止めして固定する必要がありますので、天井の構造や下地の位置を把握していませんと、落下の危険があるため、事前の確認が必要です。

電気工事式とは?

引掛けシーリングを介さずに直接天井からの電気配線を照明器具に接続して設置する照明器具を「電気工事式照明器具」と言います。こういった照明を設置する場合は、電気工事士の資格が必要となります。

特殊なデザインのインテリアライトを選べるメリットがありますが、電気工事士による工事が必要になることや、賃貸物件では許可が必要になる場合があります。

引掛けシーリングについてのまとめ

シーリングに取り付けたペンダントライト

引掛けシーリングは、天井照明を簡単かつ安全に取り付けるための部品です。一般的な丸型・角型シーリングに加え、ローゼット型などがあるので、照明器具選びにはポイントを押さえておけば簡単に選んでいくことができます。

【ポイント】
・天井の照明シーリングの種類を確認する
・角形・丸型シーリングなら引掛けシーリング式から選べる
・天井の配線器具に適した取り付け方式の照明器具を選ぶ
・ローゼットがついているなら照明器具の選択範囲が広がる
・重い照明は簡易取付式や電気工事式の照明が多い

引掛けシーリングで取付ができる天井照明は、お部屋の模様替えなどの雰囲気を変える際に簡単に実現できる仕組みです。照明を選ぶ際はデザインだけでなく、取り付け方法や引掛けシーリングの状態を確認し、必要に応じて適切な工事を行いましょう。

もし、ペンダントライトシーリングライトなどの天井照明を取り付ける際に不安や疑問があれば、電気工事士や照明メーカーへ相談することをおすすめします。

本記事を参考に、引掛けシーリングの仕組みを理解し、安全に天井照明を取り付けましょう。

Don2 ペンダントライト・照明作家 谷俊幸

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